巽彫刻

愛知県岡崎市の狛犬屋 『巽彫刻』 当工房では日本全国の石材店に狛犬を販売しております。花崗岩で狛犬を彫り続けている石職人です。

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江戸時代の狛犬

江戸時代以前には少数だが地方にオリジナル狛犬が存在するが、量産がされたのは福井県三国地方から産出する笏谷石(凝灰岩)で彫られた狛犬だ。
徳川家康の死後、神社の参道に石造りの狛犬が江戸(東京)と浪速(大阪)でほぼ同じ時期に建てられ始め、木彫・青銅狛犬を手本に左右で「阿・吽」になった日本独自の獅子像(狛犬)が石工により彫られた。 天明年間(1781年)になり島根県松江で来待石による、出雲型狛犬の生産が始まる。

 

【承応3年(1654)】 目黒不動尊 東京都目黒区

【承応3年(1654)】 目黒不動尊 東京都目黒区

 

【承応3年(1654)】 目黒不動尊 東京都目黒区

 

【承応3年(1654)】 目黒不動尊 東京都目黒区

 

日光東照宮(元和三年1613造営)に続いて、江戸の市中に建てられた最古の『はじめ狛犬』
承応3年(1654)制作の参道に建てられている狛犬、近くに朽ち果てた同系の狛犬が一対と、久能山東照宮にも同系の狛犬が計三組確認されている、共に安山岩で彫られ同じ工房の作かも。

 

【天明年(1786年)】 叶神社 横須賀市西浦賀

【天明年(1786年)】 叶神社 横須賀市西浦賀

 

【天明年(1786年)】 叶神社 横須賀市西浦賀

 

【天明年(1786年)】 叶神社 横須賀市西浦賀

 

天明6年(1786) 石工・新居源右門作、安山岩製の大型の狛犬で共に『阿』口を開けたデザインの狛犬です。
良質の本小松石(安山岩)で彫られたオリジナル狛犬、玉垣の内側には子狛犬が隠れている拘った作になります。

 

【文政11年(1828年)】 牛島神社 墨田区向島

【文政11年(1828年)】 牛島神社 墨田区向島

 

【文政11年(1828年)】 牛島神社 墨田区向島

 

【文政11年(1828年)】 牛島神社 墨田区向島

 

文政11年(1828) 東京では一番古い獅子山で作者は不明、溶岩を積み上げ獅子が千尋の谷へ子獅子を落とし這い上がって来る様を表しています。

 

【建て年号 文化06 嘉永05(年)北野神社(牛天神) 文京区春日

【建て年号不明(年)】 素盞雄(すさのお)神社 荒川区南千住

 

【建て年号不明(年)】 素盞雄(すさのお)神社 荒川区南千住

 

【建て年号不明(年)】 素盞雄(すさのお)神社 荒川区南千住

 

北野神社には尾の流れた授乳狛犬が建っていて、『吽』が嘉永05年で『阿』が文化06年二通りの建て年号が彫られていてその差43年、同じ石同じ作者だと思うが説明が付かない、江戸狛犬の逸品。

量産型の江戸狛犬はこちら

http://komainuya.com/komainukata/1-okazaki/02.html

 

【元和元年(1616)】 御霊神社 大阪市中央区

【元和元年(1616)】 御霊神社 大阪市中央区

 

【元和元年(1616)】 御霊神社 大阪市中央区

 

【元和元年(1616)】 御霊神社 大阪市中央区

 

大谷相模上掾藤原正次作 大阪で参道に現存する最古の青銅製狛犬右獅子・左狛犬。角付で一対とする様式は後の石製狛犬に影響を与えている。戦時中の金属供出を免れた貴重な狛犬です。藤井寺市道明寺天満宮にも元文三年(1738)鋳造の同系狛犬や、四国香川県金毘羅宮・廿日市市宮島町厳島神社にも同系の狛犬が奉納されている。

 

【元文元年(1736年)】 住吉大社 大阪市住吉区

【元文元年(1736年)】 住吉大社 大阪市住吉区

 

【元文元年(1736年)】 住吉大社 大阪市住吉区

 

【元文元年(1736年)】 住吉大社 大阪市住吉区

 

堺の石工、男里屋市兵衛が本御影石を使用して制作。大阪で最初に量産された石狛犬で、分類上『住吉型狛犬』とする。右の獅子は耳が下がり体毛は巻き毛が主。左の狛犬は耳は立ち頭上に一角体毛は直毛が主に彫られている。尻尾は体から離れず添った彫りになる。当時の道具と技術では限界だったのかも・・・。

 

【天明元年(1781年)】 住吉神社 名古屋市熱田区

【天明元年(1781年)】 住吉神社 名古屋市熱田区

 

【天明元年(1781年)】 住吉神社 名古屋市熱田区

 

【天明元年(1781年)】 住吉神社 名古屋市熱田区

 

旧東海道『熱田の渡し』の近くに在る住吉神社へ大阪から船で運ばれた狛犬。名古屋では最古の量産型狛犬で、耳は横に付き体も左右同体に彫られている。花崗岩で彫られていて、風化も少なく当時の姿を残している。

 

【天保13年(1842年)】 糸井神社 奈良県

【天保13年(1842年)】 糸井神社 奈良県

 

【天保13年(1842年)】 糸井神社 奈良県

 

【天保13年(1842年)】 糸井神社 奈良県

 

大阪で彫られた和泉砂岩製の浪速狛犬。約百年彫り続けられ洗練された形になっている。奈良県では、天保頃から狛犬の奉納が増え始め製品も入って来たが、渡りの職人も大阪から仕事をするために流れてきた。
幕末頃には大阪市内の主立った神社には狛犬が奉納され、市場は近隣の地区へ明治維新以後鉄道網の発達に乗り遅れ、大阪産地は衰退。

量産型の浪速型狛犬はこちら

http://komainuya.com/komainukata/3-naniwa/naniwa.html

 

【弘化2年(1845年)】 若宮神社 滋賀県

【弘化2年(1845年)】 若宮神社 滋賀県

 

【弘化2年(1845年)】 若宮神社 滋賀県

 

【弘化2年(1845年)】 若宮神社 滋賀県

 

滋賀県の琵琶湖周辺で見かける花崗岩製の狛犬。渡来人の宋人六郎が滋賀県に移り住んだ話があり、その子孫が石工として残って狛犬を・・・・。
比叡山の麓に坂本と言う地名があり、そこに穴太衆と呼ばれる石積み集団が多く住んでいた。戦国時代は活躍したと聞くが、太平の世に何を彫っていたのだろう。

 

【安政3年5月(1856年)】 小鳥神社 福山市鞆の浦

【安政3年5月(1856年)】 小鳥神社 福山市鞆の浦

 

【安政3年5月(1856年)】 小鳥神社 福山市鞆の浦

 

【安政3年5月(1856年)】 小鳥神社 福山市鞆の浦

 

広島型狛犬と分類している玉乗り狛犬。近県に同じ形の狛犬が在り瀬戸内海の船便で運ばれたか、石工が渡って行き、地元の石で彫ったのかは不明。

 

江戸狛犬(子付き) 『牛島神社』嘉永5年(1852) 東京都文京区春日